PREP法って所詮はデザインパターンの一つ

プレゼンや小論文ライティングなどの基礎テクニックとして『PREP法』というのがあります。例えば何かの説明の際に、まず自身の主張について述べ、そう主張する理由を述べ、その根拠を事例を用いて示し、最後にもう一度主張を繰り返す、というテクニックのことです。これらの英語「Point(主張)」「Reason(理由)」「Example(事例)」「Point(主張の確認)」の頭文字をとって『PREP法』と呼ばれます。欧米では基本的にこの様式での議論が常識であり英文ライティングのテクとして出てくるほか、日本でも分かりやすい説明手法の代名詞的に扱われてます。昨日のエントリ【id:wosugi:20110207】の本でも、後半はPREP法による段落構成について述べられています。
ただ個人的に、PREP法だけではとてもじゃないが論文(当方工学系です)なんて書けないよなーと思ったりしてます。以前、昨日挙げた本を読んだあと、ひたすらPREP法にこだわって論文を書いたことがありました。すると、とにかく書きづらい。主張→理由→事例→主張(再)の順番で話を展開し続けることがそもそも容易ではない上に、仮にそれで文章を作り上げても全く読み易くなかったのです。それで、自身の主張の設定の仕方が悪いのかと思い、別の角度からの主張に変えてみたり試行錯誤したわけですが、どうもどれも味気ない感じになってしっくり来ず。・・・結局、自分の主張の角度を無理矢理変えないと成り立たない構造はそもそも何かがオカシイはず!と思い、PREPにこだわるのをやめました。
で、この前、『理科系の作文技術』という本を読んでたらですね、ちょうどこのPREP法の話が出てきまして(これも近いうち書評を書きたい)、著者曰く「PREP法は分かりやすいけど、こればかりだと文が単調になりやすい」的なことが書いてあって、いと共感したものです。よくある小論文なんかは「PREP法で答えてね♪」っていうのが大前提のものなので基本的にPREP無双ですが、実際の文構造というのはもっと複雑です。単純に「PREP」の繰り返しで主張をつなげれれば楽なのですが、実際には主張・理由・事例のそれぞれの中にミニ主張・ミニ理由・ミニ事例があったり複雑な再帰構造しているのが一般的なように感じます。これをうまいことPREPヒトカタマリで段落に区切るのは結構な至難の業です。
プログラムの世界でも、効率良くオブジェクト指向プログラミングするためのテンプレ構造としてデザインパターンというのがあります。まだ自分が高校生だった頃、デザインパターンを駆使してプログラミングをしようとして、プログラムの構造が複雑になってしまい可読性が落ちまくったことがありましたが、なんとなくそのときの経験に似ていました。要するに、PREPも文構造のデザインパターンの一つに過ぎないわけですから、それがしっくりハマるときだけ使うべき!ということなんでしょうね。「これは万能な型なんだ!」と信じこんで、現実のものを無理矢理に理想型にハメるのはよくないですね。絶対コケます。
そんなわけで、最近はPREPがスッポリ当てはまる事柄には優先的にPREPを用いて段落を構築し、それでしっくりこないときは全く別の形で書いてます。あ、もちろん、PREP法が基本中の基本の構造であることに異論はないです。