「言語技術」が日本のサッカーを変える

「言語技術」が日本のサッカーを変える (光文社新書)

「言語技術」が日本のサッカーを変える (光文社新書)

久々のブログ(広告ウザいね><)。今週読んだ本がめっちゃ面白かったので紹介する。日本サッカー協会の強化委員長の方が書かれた本で、日本のサッカーをより強くするためには言語技術のトレーニングが大事!と説いた本。正直言うとこの本読んで日本サッカー協会を見直した(笑)。↓の記事が概略つかむのに良さげ。

この本のいう『言語技術』ってのはいわゆる論理的な情報伝達のことで、このスキルが今後の日本サッカーの成長に欠かせない!と著者は主張する。論理的な情報伝達というのは、英文ライティングとかでよく出てくるPREP法のように、「最初にまず主張を述べて、続けてその理由・根拠を述べる」という発言スタイルや、5W1Hを常にクリアにするといったこと。まるで研究発表とかTOEFLのハウツー本みたいなトピックなのに、それがサッカーと結びついてるのが興味深く、購入後あっという間に読了してしまった。
サッカーの強化がテーマであるはずが「あーこれ、まさに研究と同じだよね」っていう場面が多々あって、全然異分野なのになぜか親近感が湧いてしまう。例えば「学生が質疑応答中に固まる(with 先生に助けを乞う眼差し?)」とか「論文やプレゼンの構成が起承転結型でイライラ」とか「厳しい質問するとふてくされる」とか。それと似たような事が日本のサッカー界でも起こってると。一方で欧米では、小さい頃からこっち方面の教育が徹底されており、選手が小さいうちから自分の意見を持ってるし、しかもそれを監督であろうがぶつけてくると。これが相互理解の訓練となり『creativity』を発揮できる土壌につながってるんじゃないかと。確かに。
また2012年に読むからこそ感じとれることもあった。執筆時期はオシム監督時代のようで、その後の南アフリカW杯の結果や日本人選手の欧州での活躍を知っていることで、より一層楽しめたと思う。また本の中で何度も言及されるJヴィレッジについても今読むと複雑な心境だ。Jヴィレッジは福島県にあるスポーツ施設で、この本の思想を実現したサッカースクールもそこにあるそうだ。福島県?と気になって調べてみたらこんなの出てきた。

実はJヴィレッジは原発20km圏内にある東京電力のサポートでできた施設だそうだ。今では原発作業員の宿舎として使われてるらしい。原発事故によって夢を邪魔されたサッカー少年はさぞ悔しかったろうと想像する。
代表選観戦する程度のサッカーファンのオレが楽しめたので、サッカーに興味ある理系大学院生や先生方はもっと面白く読めると思う。オススメ。