マイクロソフト戦記

マイクロソフト戦記―世界標準の作られ方 (新潮新書)

マイクロソフト戦記―世界標準の作られ方 (新潮新書)

Microsoft Windows』がどのようにしてデファクトスタンダードになったのか、その軌跡を、当時“なかのひと”であった著者が述べている本。いわゆるプ■ジェクトXのような美化はされておらず、怒号あり、不誠実あり、ハッタリあり、精神異常あり、無茶なスケジュールありまくり、といった部分も素直に述べてある。だからこそ読み応えがあった。そして、戦略よりも運の要素が大変に大きかったというのも良く分かる。
読み終わった感想は「こんな会社入りたくないわー」(笑)。著者もよくこんな多忙の極みな状況で死ななかったなーと。これを見てビル・ゲイツは素晴らしいトップなのか、そうではないかのか、判断できないというのが正直なところ。アメリカ型ってのはこんなものなのか。。。マイクロソフトアスキーIBM・アップル・ロータスといった企業のやりとりが、なんとなく三国志の群雄割拠時代を思い起こさせた。それくらい新しい分野の争いは熾烈であり、また計算・戦略でどうこうなるもんでもないんだなーと痛感した。特にMSXの失敗に至るまでのくだりはなかなか興味深い。結果的にオフィス用PCとしてはWindowsが勝ったわけだが、著者も言っているが「運が良かった」んだろう。爆発的ヒットを生み出す三要素ってのはなるほどだった。が、これは計算してできるものなのだろうか。
自分は小4(1994)でPC-286に触れ、小5(1995)でWindows3.1搭載のPC-586を手にしたが、それのホンのちょっと前の時代の話と思うと、なんだか感慨深かった。当時はあんなスペックでよく満足してたなと思うわ。てか、ゲームしかやってなかったけどね(笑)。子供ながらに「MS-DOS5.x以上だから大丈夫」とか考えてたしね♪。
どうしても横文字・カタカナ文字が多いので、そこがスッキリする(俺としてはカタカナより英語のほうがいい)ともっと読みやすいと思った。あと登場人物が多いので、そこもスッキリとね。著者は長年UKにいたからしょうがないかもしれんけど。