A fast progressive lossless image compression method for space and satellite images

2007/07 発行。【id:wosugi-research:20090605】で言及した手法の国際会議論文。
衛星画像を対象としたロスレス画像圧縮手法で、JAXAの金星探査プロジェクトに採用されている。予測符号化を基にした手法で、JPEG-LSやJPEG2000ロスレスと同程度の圧縮率で、JPEG-LSに比べて7〜14倍、JPEG2000ロスレスに比べて26〜35倍も処理が高速。素晴らしい。
予測部は、低解像度から高解像度へと階層的に予測する方式である。原画像を{ N,N/2,N/4,...,1 }画素とびにサンプリングした画像を順次復元していく感じ。最初の予測フェイズでは平均予測器を用い、それ以後は着目画素の上下左右(かその45度回転した方位の)画素の平均値で予測する模様。イメージ的には補間というほうが分かりやすいかも。このあたりはAPT*1にそっくり。コンテキストモデリングでは、予測に用いる周囲4画素間の差分の絶対値和を用いるとのこと。
符号化は適応的なGolomb-Rice符号でJPEG-LSとほぼ一緒。ただ分散推定では、誤差絶対値和だと累積値で扱いにくいので、代わりに近傍画素における予測誤差からパラメータを表引きで求めるらしい。これにより圧縮率は0.5%下がるが、処理は50%高速になるとのこと。
感想であるが、自分が昨年トライしてた手法と似てたのでなんか悔しい(が方向性が間違ってなかったという点では嬉しい)。自然画像ではどうだろうかというのは少し気にはなる。特に衛星画像は平坦領域が多そうだし。。。ただ、SIMDなどの並列処理性を利用していない状況で、JPEG-LSより一桁程度速いというのはかなり凄いよなぁと思った。圧倒的な結果を出している点で素晴らしい論文でした。