これなら分かる最適化数学 基礎原理から計算手法まで
- 作者: 金谷健一
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2005/09/01
- メディア: 単行本
- 購入: 29人 クリック: 424回
- この商品を含むブログ (41件) を見る
この本のテーマは「最適解(or局所解)を求める手法を体系的に学ぶ」こと。曲線の極値の話から最小二乗法や最尤推定に発展し、線形計画法や動的計画法までカバーしています。本全体にピラミッドを積んでいくような一貫性があり、初学者にとっても非常に読みやすいと思います。金谷先生の本は数式を用いて明快に理由を述べるという特徴がありますが、そのおかげでイマイチ違いが分からない手法の差が明確になってます。ニュートン法や共役勾配法などの反復計算の方針の違いについて、こんなに明快な説明は今まで見たことがないです。これだけでも必読レベル。
逆にちょっと分かりづらかった点といえば、線形計画法と動的計画法でしょうか。これらの手法は、似たようなことの繰り返しで、手順がどうしても煩雑になりがちですが、それをTeX主体で書かれるとどうにも見づらいです。特に動的計画法は、導入時には数式を排除した説明のほうが理解しやすい印象があります。「部分問題の解を組み合わせて、より大きな部分問題の解を得られるときに使える方法」というところからスタートしたほうが分かりやすい気がしました。
本のレベル的には「学部生ならこれくらい分かってよね?」と言いたいところですが、現実にこのレベルの数学をちゃんと理解している学部生がどの程度いるだろうか・・・という感じで、いやむしろ修士学生でも怪しげな人も多々。。。まぁともかく、学部のうちにこれを理解しよう!と思って手にするのがいいんじゃないかと思います。高専専攻科にもピッタリのレベルです。
というわけで、病床で読んだ本の書評その2でした。ゼミのテキストとして超オススメ。
*1:数年前のPRMUでいきなり中国語で質疑した始めたのが衝撃的で、未だに忘れません。・・・まぁ思い出話はいっか(^^;)。