英和辞典は稀に誤解を生む

あ、別に「真の英語のためには英英辞典だろぎゃ!貧民めがっ!」って言いたいわけじゃないです。オレは英和辞典大好きですし。ただ、日本語を経由する媒体であるために稀に誤解を生んでしまうことがあります。そのあたり最近気づいたので語ってみます。

今日のお題は search です

論文でよく出てくる単語 search ですね。今回は他動詞の search について考えます。意味としては 捜す・探索する とありますね。どうみても難しくないですが、おかげで注意しないと英会話でコケます(コケました)。いや、たぶん伝わるとは思うけど、個人的に珍妙なことになってんじゃないかと思います。
例としてこういう日本語を考えてみてください。

  • (財布の中から)ポイントカードを探す。
  • (レポートがないか)引き出しを探す。

・・・この例文をアメリカ人に出されて「日本語は非論理的すぎる」と言われたら、オレは強く反論できません(泣)。上の二つの「を探す」は、実は全く異なるのです!!。

「〜を」や「〜に」は目的語を表す??

他動詞の後には必ず目的語がきます。結論から言えば、日本語の場合は一般に「〜を」や「〜に」が目的語を表すけども、それが英語の目的語と一致するとは限りません!。ここが今日一番言いたいことです。これが原因で珍妙な英文を作る可能性があります。
「ポイントカードを探す」も「引き出しを探す」も日本語では違和感なく理解できますが、ポイントカードは「探される対象物」で、引き出しは「捜索が行われる空間」になります。鬼ごっこで言えば「ポイントカード=逃げる人」「引き出し=フィールド」という具合でしょうか。変な説明ですか、そうですか。・・・さらに括弧の中に注目すると、「財布=フィールド」「レポート=逃げる人」ってのも理解できると思います。実は上記二つは、逃げる人とフィールドが入れ替わっているにもかかわらず、両者とも同じ「を探す」で表現できてしまうのです。日本語、マヂフレキシブルすぎやー(orz)。

日本語に引っ張られて間違った訳

ムリヤリにそれっぽく例文を訳してみました。主語は適当に I をくっつけて、あと冠詞とか補完するのが面倒なので日本語も併用で。

  • I search ポイントカード (in 財布).
  • I search 引き出し (for レポート).

どっちが正しいかと言えば「引き出し」側が正解になります。searchの後に来るべきは「フィールド」なのです。日本人的には「逃げる人」を持ってきたいですけど、それは for を使って付加します。もしフィールドを特に言わないのなら search for のイディオムを使います。↓みたら分かりますね。*1

しっかし、「〜を捜し求める」ってうまいなぁーと思いました。これで search for の後に「フィールド」を配置することは難しくなるわけですね。ほら、「(レポートがないか)引き出しを捜し求める」は日本語的に正しくないですし。・・・ただ、こういう正確な和訳を追及するよりは、自分の場合はもっと論理的に、「search フィールド for 逃げる人」ってイメージをつかむほうが、なんとなく効率がいいんでないかと考えます。後戻りのできない英会話では重宝する考え方です。

英和辞典でもこれは回避できる

今回言いたいのは英和辞典が悪い!ってことじゃなくて、使い方を誤らないように!ってことです*2。英和辞典には例文というものがありまして、それを使って、「search A for B」ではなく「search フィールド for 逃げる人」とより具体性のあるイメージをつかんでおいた方がいいですよ、と言いたかったのです。ちゃんと書かれてる例文はチェックして、他動詞の後ろに何が来るべきなのか、そういう部分まで理解してないと、ポイントカードのケースになってしまうことがあります。

なんか偉そうな口調ですが、このエントリが誰かのお役に立てれば何よりです♪。

*1:ついでに look for も覚えると効率的!。

*2:上記のアルクのサイトはかなり良質です。とってもオススメ。http://www.alc.co.jp/